英語支配の加速

 ビジネスは国境を突き破って行われます。今後は一段と越境するようになるでしょう。そこでは共通言語を扱う能力が求められるのは当然だと言えます。例えばインターネットの情報に占める英語の比率は実に55%に上ります。日本人の多くは日本語のページしか閲覧していませんが、グローバル化の時代にあっては、ごく一部の情報にしか触れていないということになります。

 昔は英語ができることが武器でした。今は若者の英会話能力は皆に求められて当然のものとなっています。都市部では事実上の移民として外国人労働者が多く暮らしており、英語のできない日本人に代わって、彼らがインバウンド産業に従事しています。IT産業でも英語が当然にできるインド人、中国人が日本人を押し退けて活躍しています。既に日本人が日本で就職するために英語を勉強することが求められる時代に変わっているのです。

 では英語以外の言語が現在の英語の地位に取って代ることはあり得るのでしょうか。当初グーグル翻訳は中間言語を基軸としてプログラムされているのではないかと囁かれていましたが、実際は英語に則っています。その証左として、翻訳の精度は英語を介したものが一番優れています。恐らく英語をハブとしたプログラミングの既定路線は今後も変わることが無いのでしょう。AIの技術がどれほど進歩しても、否、進歩すればするほど、英語を学ぶことが要求されるのです。

 情報テクノロジーとしての機械翻訳は、その使用によって能力の個人差をさらに広げます。AIを活用することで、情報処理能力の高い人、語学を含めた知識を有している人がますますその能力を高め、富を蓄える一方、ゲームやネットサーフィンしかできない人はスキルを身に付けることができず、経済的に貧窮することは避けられません。