戦後の英語教育

 日本で学ぶ英語はアメリカ英語だと理解している方も多く、間違ってはいないのですが、実は戦前に限ればイギリス英語でした。戦後にアメリカ英語が取って代ったのは、GHQの文化支配やハリウッド映画の影響が大きかったからだと思われます。ところで日本では英語は日本語で教えられることが大半で、英語を英語で教えられるケースはあまり多くありません。また英語以外の一般科目は日本語で教育されるのが当然だと考えられています。しかし日本以外のアジアの国々では、理数科目は英語で解説されます。日本の教育事情がこれほどまでに特殊な理由としては、明治以降の邦訳の過程で専門用語に至るまで漢語に訳されたことが挙げられます。また出版の盛況ぶりもアジアの中では随一であり、海外の名著の多くを日本語で読むことのできる環境が整っていることも一因でしょう。ただこのような状況は日本の学生の語学学習動機を妨げているとも言え、専門家の中にも、他国のように英語で講義すべきだと訴える人がいます。文科省もそうした声に耳を傾け、小学校のカリキュラムに英語を加えたり、高校の英語教員の英語力を底上げしたりするなど、対策に乗り出し始めています。

 こうして英語の教育史を踏まえると、今後の国際社会で日本が生き抜くために何が必要か、少しずつ見えてくるかもしれません。改めるべきところを改めることで、英語の苦手な日本というイメージも徐々に払拭することができるでしょう。黒船がやってきた時代にご先祖が悩んだのと同様、現代人である我々も語学と歴史という視座を無視することはできません。外国との関係を築き上げるためには、英語と上手く付き合っていく必要があるのです。