中東と英語

 我々日本人にとって謎に包まれた地域の一つが中東ではないでしょうか。欧米とはしばしば反目する中東では英語をどのように捉え、また教育しているのでしょう。実は中東諸国こそ英語話者が多く滞在する地域です。石油に依存した経済から脱却するためには、優秀な外国人を多額の報酬で招き、先進国に追いつくための技術を身に付けなければなりません。ですから街中には英語を話す外国人が行き交っており、英語を使えなければ仕事はおろか、生活も成立しません。就職もアジア以上に英語力が問われます。英語だけでなく、フランス語やスペイン語の能力も同時に求められたりもします。

 就職におけるインセンティブが大きいため、親御さんも必死に英語教育を施します。アジアとは異なり、「小学校から」などと呑気に構えてはいません。富裕層は幼稚園からインターナショナルスクールに通わせます。インターナショナルスクールの教師は皆バイリンガルなので、授業中はもちろんのこと、遊戯の時間も英語を効率的に習得できるよう、体制が整っています。また富裕層はベビーシッターを雇うのが一般的なので、メイド等が使う英語も習得しながら生活します。これも意外でしょうが、アラブのテレビには欧米のアニメや教育番組が流れており、ネイティブの発音にも抵抗がありません。さらにスーパーやレストラン、果ては病院に至るまで、従業員は皆外国人で、英語を話します。生活において英語を使用する場もアジアに比べてはるかに日常的なのです。面白いのは習い事さえ英語で行われるということです。オイルマネーで雇う外国人は文芸の領域でも一流の人ばかりです。多くの日本人がイメージする「中東」とはかけ離れた実態であることがお分かりになるでしょう。