イギリスとアメリカ

 戦前はイギリス英語が、戦後はアメリカ英語が、日本における英語教育の主流であることは上述しました。これから学ぼうとする若者は、また学び直そうと考えている中高年は、一体どちらを選ぶべきなのでしょうか。両者の違いを大まかに述べることにしましょう。イギリス英語は一言でいえば美しい英語です。発音や文法が整っており、表現も丁寧で上品な印象を与えます。他方、アメリカ英語はカジュアルな英語と言われています。省略表現や簡潔な言い回しを好んで用います。こうした傾向の理由は定かではありませんが、アメリカは移民国家であるため、イギリス英語のように文法や品格を重視すると、マイノリティーに対する差別を生み出しかねないことは確かです。

 英語を学ぶ人々の動機は様々でしょうから、イギリス英語とアメリカ英語のどちらを学ぶべきか各々が決めることです。現在の学校教育の現場ではアメリカ英語が主流ですし、英語話者の比率に鑑みてもアメリカ英語を薦められますが、イギリス英語を話す国も少ないとは言えません。オーストラリアやニュージーランドはもちろんのこと、インドやシンガポール、南アフリカ等もイギリス英語を使用します。これらの国々は大英帝国時代の植民地に該当するためです。ですからあなたの目的に合わせた選択が大切であり、「何となくアメリカ英語」といった単純な理由で選ぶのは危険だと考えて下さい。

 イギリス英語とアメリカ英語との違いは他にも見られます。例えばイギリス英語ではアクセントにおけるRをアメリカほどには強調しません。またTは逆にアメリカよりもはっきりと発音します。この種の差異はノンネイティブである日本人にとっては些細であるように思えるのですが、ネイティブは大きな違いとして感じ取れます。その証左でもあるのが、アメリカ女性の一部が英国男性の話し方に憧れるという事実です。